リハビリ体制
当社が運営する施設には、さまざまな症状の方がご入居されています。当社では、各ご入居様の症状に合わせ、機能回復のプログラムを用意し、スタッフと共に訓練を行える体制を整えております。
経鼻経管栄養から経口摂取へ
経過と実地内容
平成25年5月 | 脳梗塞にて入院、失語症・右片麻痺により経鼻経管栄養、寝たきりの状態 |
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平成25年7月 | 退院後、24時間看護職員常駐の施設にご入居 |
平成26年2月 | 往診時、医師の診断によりマーゲンチューブ抜去、最終的に経口摂取可能に |
言語聴覚士3名、週3回(1回30分)嚥下訓練、発声訓練 |
作業療法士1名、週1回 関節可動域訓練、座位保持訓練 |
言語聴覚士3名がそれぞれの視点から考える得るリスクを検討しながら、リハビリを継続。外部受診によるVE検査(嚥下内視鏡検査)を月1回の頻度で3回実施。定期的な診断と評価を受けながら経口摂取に向けた取り組みを行う。まずはあいさつと発声の訓練、氷や水を含み、嚥下反射をチェック。段階を経てプリンやヨーグルトの摂食から始め、高カロリー栄養補助飲料など1日に必要な栄養量にも配慮しながら、ペースト食を口から食べていただく試行を繰り返し、いずれも成功。この経緯を随時医師に報告。
リハビリテーションのアプローチと成功事例
ご入居者様の状態に応じた個別リハビリのポイントと、実際に施設で行ったリハビリの事例をご紹介します。
脳梗塞のリハビリ(維持期)
- アプローチ
- 日常的な動作を繰り返す訓練
- 目的
- 筋力や柔軟性の回復、関節可動域を広げる、バランス感覚を高める
- 成功事例
- 出血性脳梗塞による左片麻痺のA様は、リハビリが目的でご入居されました。2時間毎の立位交換、移乗は2名で介助、車いすずり落ち防止抑制帯使用。PT(週5回)とOT(週1回)による個別リハビリを続けました。その結果、寝返りと起き上がりは自立で、移乗は見守りで、歩行はT字杖軽介助により歩行可能となりました。(※PT=理学療法士 OT=作業療法士)
骨折後のリハビリ(回復期)
- アプローチ
- 痛みの具合を留意した筋力強化訓練
- 目的
- 寝たきり状態を防止、体力の衰えを防止
- 成功事例
- ご入居される以前の骨折により、もともとリハビリが不足していたB様。当初は、車いすからの移乗が全介助状態でした。施設へ入居後、リハビリとして筋力強化運動とともに、平行棒での歩行訓練を実施しました。現在では手すりにつかまり、見守り状態でトイレへ行けるようにまでなりました。
口腔・嚥下のリハビリ(予防)
- アプローチ
- 口腔内を清潔に保つ / 食事形態やトロミ加減の調整 / 交互嚥下を実施
- 目的
- 誤嚥性肺炎を予防、経口摂取
- 成功事例
- 85歳のC様は、入居後ST評価およびVF検査を実施し、経口摂取不可と判定されました。栄養補給は全て胃ろうにたよる状態でした。STによる個別リハビリを開始して8ヵ月後、VE/VF検査を実施したところ、経口摂取可能と診断されました。現在では、胃ろうよりも高い頻度で経口摂取を継続しており、誤嚥性肺炎もなく、ご家族もお喜びです。
(※ST=言語聴覚士 VF検査=嚥下造影検査 VE検査=嚥下内視鏡検査)
廃用性萎縮のリハビリ(予防・回復/維持期)
- アプローチ
- 機能低下部位の筋力回復訓練
- 目的
- 体力・運動能力の向上、生活に活気を取り戻す
- 成功事例
- 自力歩行できていたD様が、入居後3か月間の入院。寝たきり状態で退院されました。筋力回復のリハビリを開始し、車いすに移乗する訓練により、安定して車いすに座れるようになりました。それを契機に、車いすに座って食事をするように変更したところ、身体機能の改善が顕著になり、立ち上がり歩行訓練を行えるようになりました。