「ありがとう」の言葉と笑顔に出会えたから
それぞれの「想い」が選んだ介護の世界とは、いったいどんなところなのでしょう。
働き続けるからこそ知る介護の「今」、そして高齢化社会や核家族化が進む「これから」を、
介護の現場、最前線で活躍する4人に語り合ってもらいました。

株式会社 創生事業団 主任
井野 耕三
介護の世界に入ったきっかけを教えてください。
井野 ぼくが将来の職業を考えていた頃は、ちょうど介護保険法ができた頃で、世の中が介護に注目していた時期でした。おばあちゃん子だった自分は、家族の中の誰かが介護についての知識を学んでおけば、きっとおばあちゃんのために役立つだろうと思ったんです。そこで福祉の専門学校への進学を選択しました。
平林 介護の仕事をしている友人の話を聞いて興味を持ったのがきっかけです。ヘルパー2級を取得するために行った実習現場で、こんなに感謝される仕事はすばらしい!と思い、そのまま今まで働いています。
Mア 剣道…ですね(笑)高校を卒業する頃、地元に特別養護老人ホームができました。地域で少年剣道を教えながら老人ホームで働いてみたいなと思ったのがきかっけです。
松村 祖母が老人ホームに入居したのがきっかけではあるのですが、その時点でこの世界を目指し始めたわけではないんです。祖母が他界した後、グッドケア主催のヘルパー講習に参加する機会がありまして、その時、祖母の世話をしてくれていた方の姿をふっと思い出し、講習終了とともにお声掛けいただき、今の会社に入りました。

たまプラーザ倶楽部
ケアスタッフ
平林 美和子
頑張り続けられるのは、どうして?
平林 たくさんの「ありがとう」の言葉や「笑顔」に出会えることです。こんなに深く、人の心を感じられる仕事ってありませんよね。
井野 「ありがとう」の言葉はもちろんのこと、ここでなければ出会えなかった方々と出会えたこと、たくさんの家族ができたことです。まるで孫のように見守ってくれるんですよ、皆さん。入社して間もない頃のことですが、まだ若葉マークの自分のことを、1スタッフとして認めてくれ、一生懸命を見守ってくれた方々の優しい眼差しを忘れられません。
松村 一緒に働く仲間や先輩の存在が大きいです。大変なことも多い仕事だとは思います。でも、必ず助けてくれる人がいること。迷った時に導いてくれる人がいること。そして、皆さんも言っていましたが、「ありがとう」の言葉と笑顔。自分を見失いそうな時に支えてくれました。
井野 どんな仕事でも、躓きそうになることってあると思います。そんな時、一緒に働くのを楽しいと感じる仲間がいるのは、心強い。
Mア そうそう。現場が楽しいことは大切ですね。職員が楽しくないと、入居者の方もそういう空気を感じてしまうじゃないですか。楽しいといっても、ワーっと賑やかな楽しさとは違って、そう、居心地の良さというか・・そんな感じです。入居者の方の生活を守りたい、ご親族の方の生活を守りたい。その「守りたい」という気持ちが、自分たちにとっても癒しにもなっています。
平林 私の働く現場は、特養なのでターミナルケアが多くて…気持ちが沈むこともあります。そんな時、仲間の励ましがあったから続けてこられたんだと思います。
井野 そうだね。介護は一人でやる仕事のようですが、大きな目で見ると、チームワークが大切な役割を担っています。介護は生活を支える仕事、入居された方の人生に関わる仕事なんです。仲間同士が互いに助け合うことができないのに、人の人生をみるなど、到底無理。だから、これまで続けられてきた一番の理由を、「仲間のサポートがあったから」と言っても過言ではない気がします。

JALUX
グッドタイムホーム・不動前
主任
松村 朋美
今、課題と感じることはありますか?
井野 介護について、知られていないことが多すぎる点だと思います。家族が倒れて入院した時に初めて「退院した後はどうしたらいいのか?」「どこに何を聞いたらいいのか?」などの疑問に直面する。そんな時、近くに少しでも介護について知っている人がいれば、助言することもできるでしょう。核家族化が進む今、介護について、もっと多くの人に知ってもらう必要があるんじゃないかと。
Mア 介護職の認知度も低いですよね。テレビで“ちょこっと”登場すると、あんまりにも暗いイメージなもんだから、「それは違う!老人ホームはもっと明るいところ!」と言いたくなる。もっとたくさんの人に、現場を知ってもらいたい。介護職が主人公のトレンディドラマとかあったらいいのにね(笑)
松村 私は、「人手」が課題だと思います。この先30年、総人口が減るのに高齢者の比率が上がる時代。核家族化も進んでいき、介護が必要な人が増えるのですから。

板橋やすらぎの園 本館
施設長
Mア 友則
これからの介護は、どうあるべきだと思いますか?
井野 介護職の人が増えれば良いというものではないと思います。高齢化が進めば、どの職業も働き手自体が減るわけですから。だから、暮らしの中で「助け合いが活きる」が理想。介護って特別なことではないと思うんですよね。街で困っている高齢者に自然と手を差しのべる。これも介護のひとつ。つまり、地域の中での助け合いの輪が広まるといいですね。そのためには、介護についてもっと知ってもらう必要がある。だから、現場で働いている自分たちがコミュニティーの介護リーダーとなって、情報を外に発信しなくては。
Mア 地域で一体となって考える介護も大事ですよね。
平林 地域の方との交流の機会は貴重です。うちではこれまでに、フラダンスとか習字の先生に来ていただいたり、保育園の子どもたちが来てくれたこともあります。子どもたちが、家に帰って家族に園の様子を伝えてくれるのがうれしいです。
松村 「子どもが親に語る」は、まさに親を子どもが支えるという介護の姿を映していますね。
Mア 現場の話になりますが、入居者の方が、その人らしい生活を続けられるホームを、これから入ってくる仲間と一緒に創りあげられるのが理想ですね。
“グッドタイム”だからできることは?
井野 グッドタイム・アライアンスは、現場で仲間同士がチームになるのと同じように、個々の法人がいろいろな方面からサポートし合うことができます。それに、職種の幅も広いので、「やりたい」、「知りたい」気持ちを活かすチャンスがたくさんある!
平林 自分が持つ向上心に、たくさんのチャンスが応えてくれます。
松村 今日みたいに、他の現場で働く人と語る機会もありますしね。
Mア 現場では、介護の学校だけではなく、一般大学から入ってきた人たちも多く働いています。新しい人の発想やパワーはスゴイ。そんな発想を実現できるのも、新しい介護のかたちを目指すアライアンスならではなのでは?
最後に、未来の仲間へ一言。
井野 人が好きな人なら、きっと、好きな道。
Mア まず、知ってもらいたい。そして、ぜひこの業界に飛び込んできてもらいたい。
松村 迷った時に導いてくれるいい仲間にきっと出会えます。
平林 口で伝えるのはむずかしいから…、感じてもらいたい。みなさんと一緒に頑張りたいな。